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2026.06.08
高校を卒業するまで、私は毎日、下灘で過ごしていました。
下灘は、私にとって特別な観光地ではなく、当たり前のようにそこにある風景でした。
そして、当社にとっては創業の地でもあります。現在の焼杉工場がある場所です。
その下灘という地名や、下灘駅が、近年になって多くの方に知られるようになりました。
たくさんの方が訪れてくださることは、とてもありがたいことです。
私の祖父は晩年、老人会のボランティアとして、下灘駅の掃除や花壇の手入れをしていました。駅を訪れる方々と話をすることも、生きがいの一つだったように思います。
一方で、昔の下灘駅を知っている者としては、少し寂しさを感じることもあります。
かつての下灘駅には、バックパッカーのような旅人が一人、ただ静かに海を眺めているような風景がありました。
観光地というより、何かを考えたり、立ち止まったりするための場所だったように思います。
今の賑わいはありがたい。
けれど、あの静かな美しさが少しずつ遠くなっていくようにも感じます。
流行というものは、いつか過ぎ去ります。
一方で、企業を経営していると、流行や話題を生み出さなければならない現実もあります。
売上をつくる。新しい需要をつくる。お客様に知っていただく。
それを怠れば、会社は続いていきません。
流行を追いかけすぎることへの違和感。
しかし、流行を生み出さなければ生き残れないという切実さ。
この二つは、私の中で矛盾しています。
だからこそ、私たちは「定番」について考えたいと思っています。
いつまでも愛される製品をつくること。
一時的な話題で終わらない材木屋であること。
けれど同時に、新しい価値や流れを生み出せる材木屋でもあること。
流行やトレンドを生み出しながら、それが一過性で終わらず、やがて定番になっていく。
そんな仕事ができればと思っています。
今、下灘の海を見ながら、何かを感じてもらえるようなプロジェクトを検討しています。
派手ではないけれど、心に残るもの。
静かだけれど、美しいもの。
流行ではなく、時間をかけて愛される定番。
下灘という場所から、そんなものをつくることができれば嬉しく思います。
西下文平
※写真はHP製作時に中島光行さんに撮影頂いたものです。



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